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秋篠寺 「苔じゅうたん」に囲まれた本堂と、優しげな「技芸の女神」

散策コース:奈良(4))

奈良市の西部、平城宮跡の北西に、古くから「秋篠」と呼ばれる地域があります。

この秋篠の地にあるのが、今回ご紹介する秋篠寺


なお、秋篠と聞いて、天皇家の「秋篠宮」が頭に浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。

秋篠宮とは、現在の天皇陛下の第2皇子、礼宮文仁親王の称号で、礼宮様ご成婚の際に天皇陛下から賜ったものです。

この称号、実は、ここ奈良の「秋篠」が由来なんですね。

その理由は、秋篠寺が、奈良時代に光仁天皇の発願で建立された勅願寺であり、天皇家とのゆかりが深いから、とも言われています。


昔の伽藍跡を覆う「苔のじゅうたん」

唯一残る創建時の建物、国宝の本堂

堂内諸仏の一番人気は、「芸術の女神」伎芸天


秋篠寺

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昔の伽藍跡を覆う「苔のじゅうたん」

さて、秋篠は、東大寺興福寺などの奈良の観光の中心地からは離れた静かな場所。

この秋篠の里で、現在の秋篠寺は、閑静な雑木林の中にひっそりとたたずんでいます。

現在は「古刹」という呼び名がふさわしい秋篠寺ですが、その昔は、金堂、東塔、西塔などの立派な伽藍を構えた大寺院。

戦後に主要な建物を次々と再建した、現在の薬師寺の境内を思い浮かべるとイメージしやすいでしょうか。

しかし、火災によってほとんどの建物を失い、唯一、本堂だけが残ります。


南門あるいは東門から秋篠寺の境内に入ると、その先は、雑木林が広がる静寂な空間。

境内の中央に本堂があるはずですが、周囲の木々で囲まれてほとんど見えません。

本堂を取り囲む雑木林

また、木々の足もとには美しい深緑の苔が広がります。

本堂へ向かう参道の周囲一帯は、さながら「苔じゅうたん」の様相を醸し出しています。

なお、この苔は、お寺の景観の一部をなす、大変大事な要素。

柵を越えて苔の中に踏み入れるなど、苔を痛める行為はくれぐれもなさらないよう。

境内の苔じゅうたん

なお、現在は雑木林となっている本堂周囲は、その昔、伽藍が立っていた場所。

例えば、本堂拝観受付前のエリアは、昔の金堂の跡です。

苔じゅうたんのところどころで、金堂の礎石と見られる石が顔を出しています。

また、南門の近くには、東塔の礎石も残されています。

東塔の礎石

唯一残る創建時の建物、国宝の本堂

さて、木立の間をしばらく歩くと急に開けた場所に出ます。

ここに立つのが秋篠寺の本堂

この本堂は、鎌倉時代の建築物で、国宝に指定されています。

ただし、創建当時(奈良時代)の講堂が鎌倉時代の大修理で改築されたものともいわれています。

そのせいか、奈良時代の建築物のような古風な印象を受けますね。

秋篠寺本堂

全体的には、鎌倉以前の伝統建築様式「和様」を踏襲した建物。

ただ、典型的な和様の建物とは一部異なるところもあります。

例えば、和様の建物では床が張られているのが一般的ですが、この秋篠寺の本堂には床が張られていません。

石の基壇の上に直接立ち、堂内には「土間」が広がっています。

基壇の上に立つ本堂

堂内諸仏の一番人気は、「芸術の女神」伎芸天

この本堂内には、古くから秋篠寺に伝わる諸仏が安置されています。

秋篠寺のご本尊は、薬師如来。鎌倉時代の作で国の重要文化財指定。

両脇には、脇侍の日光菩薩(にっこうぼさつ)と月光菩薩(がっこうぼさつ)が控えます。


しかし、秋篠寺の一番人気の仏さまは、やはり伎芸天像

この伎芸天は「伎芸(芸術)」の女神で、本堂内の左側に安置されています。

頭の部分は奈良時代の作、体は鎌倉時代の補作。国の重要文化財に指定されています。

伎芸天は日本では大変珍しい仏さまで、像例はこの秋篠寺のみとされています。

やさしげな表情のお顔と、丸みのある女性的なお姿。眺めているだけで、自然とこちらもおだやかな気持ちになります。


なお、40代以上の方なら、礼宮様ご成婚(1990年)の際に、全国的に起こった「紀子さまフィーバー」を記憶されている方も多いのではないかと思います。

称号「秋篠宮」とのゆかりもあり、その熱狂ぶりは、当時、この秋篠寺にも波及しました。

伎芸天像のお顔が紀子さまの横顔に似ているとの噂も立ち、普段は閑静なこのお寺に全国から多くの観光客が殺到しました。


本堂の中は薄暗いものの、その中に安置されている仏像群は、参拝者に近い位置でライトアップされています。

少し離れた位置からでも、各々の仏像の表情やしぐさが手に取るようにわかります。

静寂なお堂の中で、ずらりと並ぶ仏さまを眺めていると、時間が過ぎるのも忘れてしまいそうです。

秋篠寺境内

秋篠寺は、普段は参拝する人もそれほど多くはなく、静かなお寺の中では鳥のさえずりも時折聞こえます。

堂内の拝観を終えたら、苔が広がる境内を一巡りしてみましょう。


境内のところどころには、歌碑も建てられています。

薄暗い雑木林の中に立つ歌碑はちょっと見つけにくいのですが、それを逆手にとって「宝探し」感覚で歌碑を探しながら境内を散策するのも楽しいです。

境内に立つ歌碑

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スポット情報

<秋篠寺>

住所 奈良市秋篠町757
最寄り駅 近鉄大和西大寺駅から徒歩20分
大和西大寺駅からバス利用の場合、「秋篠寺」下車すぐ
定休日 年中無休
拝観時間 午前9時半~午後4時半
拝観料 大人・大学生・高校生500円(中学生以下は、大人同伴で無料)

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