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琵琶湖疏水 京都を復活させた明治時代の大事業

(散策コース:大津(1)京都(7))

京都の東山や大津市内を散策していると、あちこちで琵琶湖疏水(疎水)という言葉を見聞きすることがあるかと思います。

しかし、琵琶湖湖畔にある大津はともかく、琵琶湖から離れた京都で、なぜ「琵琶湖??」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

琵琶湖疏水とは、琵琶湖から取水した水を、多くの人口を有する京都市に送る水路のことです。

疏水は、大津市の琵琶湖湖畔にある取水口から、三井寺付近の第1トンネルを通って京都市の山科に入り、東山の南禅寺、蹴上付近を通過して、鴨川、さらには伏見に至ります。

この琵琶湖疏水は、100年以上も前の、明治時代に建設されたものです。当時の京都は、明治維新後の東京遷都によって人口が減少し、産業が衰退する危機にありました。

そこで、水運による物流の活性化、水力発電による電力供給、水道の整備等を目的として、琵琶湖疏水を建設して、琵琶湖の水を京都市に引き入れることが計画されました。

現在でも、電力や水道、道路などのインフラ整備と景気対策とを兼ねて、公共事業が行われることが多いですが、その先駆けとも言えるでしょうか。

この工事によって、京都の電力、水道などの基礎インフラが整備され、その後の京都の発展に大きく寄与しました。

琵琶湖疏水

さて、琵琶湖疏水とそれに関する設備は、当時はインフラ目的で建設されたものの、100年以上の年月を経た現在では、名所旧跡、あるいは、観光スポットとなっているところも少なくありません。

大津側(琵琶湖側)と京都側のそれぞれについて、琵琶湖疏水に関する主なスポットをご紹介していきましょう。

<大津側(琵琶湖側)>

大津市には、琵琶湖の水を取り込む取水部と、取水部から取り込んだ水が流れる疏水の一部があります。

(取水部)

琵琶湖周遊船が停泊する大津港から少し北東に離れた位置に取水部があります。

また、この取水部近くには、揚水機場(琵琶湖第1疏水揚水機場)があります。

この揚水機場は、琵琶湖の水位が下がったときに、ポンプを使って琵琶湖から疏水へ強制的に水を流すための施設です。

取水部

(第1トンネル)

取水部から延びる疏水は、三井寺付近からトンネルを通過して京都側へ抜けます。

これが「第1トンネル」で、その全長は2436m。当時の日本最長のトンネルであり、このトンネルの掘削工事は、琵琶湖疏水のプロジェクトの中でも、特に難しい工事となりました。

なお、第1トンネル手前の疏水の両側には、多くの桜の木が並びます。

春には、桜の木から散り落ちた、淡いピンクの花びらが、疏水の水面に落ちて流れていく様が大変美しいです。近くにある三井寺とともに、大津の桜の名所の1つです。

第1トンネル

<京都側>

京都側では、特に、地下鉄蹴上駅から南禅寺周辺にかけて、琵琶湖疏水に関連するスポットが集中しています。

(蹴上インクライン)

琵琶湖疏水は、京都への水の供給だけでなく、船を運行して人や物資を運ぶ、水運としての利用も計画されました。

しかし、現在の蹴上駅付近と南禅寺との間には大きな落差があり、そのままでは船がこの区間を通過することが困難でした。

そこで、船を台車に載せて、落差が大きい区間を台車ごと昇降させる設備が設置されました。これが、「蹴上インクライン(傾斜鉄道)」です。

蹴上インクライン

(水路閣)

疏水は蹴上で分岐し、その一部(疏水分線)は南禅寺の境内を通過して北上します。

この南禅寺境内に、今でも疏水が流れる構造物「水路閣」が残されています。

レンガづくりのアーチ形の構造物のため、当時は南禅寺の景観が損なわれるという反対の声もあったようです。

しかし、今では境内の風景にすっかりとけこんでいます。水路閣の上に登って、疏水が流れる様子を見ることもできますよ。

水路閣

(哲学の道)

蹴上付近から分岐した疏水分線は、水路閣をまたいで北に延びます。

そのうち、南禅寺から銀閣寺周辺まで延びる疏水沿いには、「哲学の道」と呼ばれる快適な散策路があります。

北白川の景色を眺めつつ、疏水の水の流れを目と耳で感じながらのんびりと歩くことができます。。

哲学の道

(その他)

蹴上駅近くには、琵琶湖疏水を利用して発電を行う蹴上発電所があります。疏水を水運として利用していた時代、この発電所で作った電力でインクラインを動かしていました。

また、インクラインの途中には、このインクラインをくぐるためのトンネル、「ねじりまんぼ」があります。赤レンガでできたトンネルで、トンネル内がねじれているように見えることから、こんな名がついたとか。

さらに、インクラインの近くには琵琶湖疏水記念館があります。琵琶湖疏水に興味を持たれた方は、ぜひ足を運んでみてください。


(参考出典:京都市上下水道局「琵琶湖疏水のご紹介」

スポット情報

<(大津)取水部~第1トンネル>

住所 滋賀県大津市三井寺町
最寄り駅 京阪三井寺駅下車すぐ

<(京都)南禅寺周辺>

住所 京都市左京区南禅寺福地町86
最寄り駅 地下鉄蹴上駅から徒歩10分
拝観時間
(南禅寺)
午前8時40分~午後4時30分(冬季)
午前8時40分~午後5時(冬季以外)
(水路閣など南禅寺境内は見学自由)

<琵琶湖疏水記念館>

住所 京都市左京区南禅寺草川町17
最寄り駅 地下鉄蹴上駅から徒歩7分
入館料 無料
開館時間 (3月から11月)午前9時~午後5時
(12月から2月)午前9時~午後4時半
定休日 月曜日(休祝日の場合は翌日休館)、年末年始
ホームページ 琵琶湖疏水記念館のご紹介(京都市上下水道局)

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