関西で新しい街歩きの楽しみ方を提案します

當麻寺 東西の古塔と中将姫ゆかりの當麻曼荼羅が残る、二上山麓の名刹

散策コース:當麻)

奈良県西部、大阪府との境にある二上山の東麓にある當麻は、昔ながらの風景が残るのどかな里。

以前の地名は「當麻町」でしたが、平成の大合併で隣接自治体と合併し、今は葛城市の一地方です。


この當麻の地に、當麻寺というお寺があります。

7世紀の創建とも言われる當麻寺は、東西の古塔や、本堂、金堂、講堂などの伽藍が残る名刹。

宗派は高野山真言宗と浄土宗の「並立」。日本でもなかなか珍しいスタイルのお寺です。


中将姫伝説と當麻曼荼羅

奈良時代の建築物も残る境内伽藍

當麻の牡丹(ボタン)


スポンサードリンク

當麻の里

中将姫伝説と當麻曼荼羅

當麻寺は、當麻の里に古くから伝わる、「中将姫伝説」で知られるお寺です。

「中将姫」と呼ばれる美しく聡明な姫が、実の母の死後、継母にいじめられて家を追い出され、當麻寺で剃髪し出家。

ひたすら極楽往生を願う中、仏さまの助けを得て、一夜で巨大な曼荼羅(まんだら)を織ります。


この中将姫伝説で登場する曼荼羅(當麻曼荼羅)は、阿弥陀如来が住む「極楽浄土」の姿を描いた絵図のようなもの。

中央に阿弥陀如来、その左右には勢至菩薩と観音菩薩、さらに、周囲には阿弥陀如来の教えを聴こうと集まった多くの菩薩が描かれています。


この當麻曼荼羅は、今も當麻寺に残されています。

東大寺大仏が作られたのとほぼ同時期、奈良時代の天平年間に作られた貴重なもので、国宝指定。

「根本曼荼羅」とも呼ばれます。

ただし、この根本曼荼羅は傷みが激しく、普段は一般に公開されることはありません。


一方で、當麻寺には、根本曼荼羅を転写した写本がいくつか存在します。

「写本」と言っても室町時代や江戸時代に写されたもので、写本自体も貴重な文化財。

一部の写本は、常時公開されています。


奈良時代の建築物も残る境内伽藍

さて、創建以降、大きな兵乱や火災を免れてきたこともあり、當麻寺の境内には、今も、奈良時代以降の貴重な建築物が残されています。

では、この境内の伽藍を中心に、當麻寺の見どころをご紹介していきましょう。


<東塔・西塔>

當麻寺のシンボル、東塔と西塔。

境内にそそり立つ両塔は、どこから眺めても絵になります。広い當麻寺の境内を散策しながらいろいろな方向から眺めてみましょう。

東塔、西塔ともに三重塔ですが、それぞれ高さ20mを超える大きな塔です。

奈良時代末期から平安時代初期の建築で、両塔とも国宝指定。


なお、東塔と西塔の2つの塔が、創建当時の古塔の形で残っているのは、日本全国のお寺の中でもこの當麻寺のみ。

例えば、奈良の薬師寺にも東塔と西塔がありますが、古塔と言えるのは奈良時代に建てられた東塔のみで、西塔は昭和になってからの再建です。

(注)現在、當麻寺西塔は、5年間に及ぶ大規模な修復作業中のためカバーで覆われています。外から見ることはできません。

東塔と西塔

<伽藍三堂>

「伽藍三堂」とは、當麻寺の伽藍の中心をなす、本堂、金堂、講堂の3つのお堂のこと。


(本堂)

當麻寺の本堂は、奈良時代天平年間に建てられた大変古い建物で、国宝に指定されています。

一般に、寺院の本堂では、ご本尊として仏像を安置していることが多いのですが、この當麻寺本堂のご本尊は、仏像ではなく「當麻曼荼羅」。

そのため、この本堂は「曼荼羅堂」とも呼ばれています。


現在、この本堂に安置されている當麻曼荼羅は、室町時代、文亀年間の写本(文亀本)、または、江戸時代、貞享年間の写本(貞享本)です。

文亀本と貞享本は、ともに国の重要文化財指定。

本堂の當麻曼荼羅は一般にも公開されており、すぐ近くで眺めることもできます。


なお、本堂内陣には、曼荼羅を安置するための厨子(ずし)や須弥壇(しゅみだん)がありますが、これらも文化財的に貴重なものであり、国宝に指定されています。

もちろん、手を触れることは厳禁です。

暗いお堂の中で當麻曼荼羅を眺める際に、身を乗り出してバランスを崩したりして、うっかり須弥壇の枠に手を掛けたりすることないよう、ご注意ください。

本堂(曼荼羅堂)

(金堂)

金堂は當麻寺が創建されたときの本堂。

ただし、現在の金堂は鎌倉時代の再建です。国の重要文化財指定。

この金堂には昔の當麻寺本尊、弥勒仏の坐像が安置されています。


なお、弥勒(みろく)という仏さまは、一般には菩薩の姿(弥勒菩薩)で登場することが多いですが、ここの弥勒さまは、ブツブツ頭に布だけを身にまとった如来の像です。

仏教において、弥勒は、今は菩薩の身であるものの、遠い将来に如来となることが約束されている未来仏。

そのため、ここの弥勒さまのように、如来の姿で造形されていることもあります。


また、弥勒仏の周囲には4体の四天王像が置かれています。

四天王と聞くといかつい顔つきをイメージされるかもしれませんが、ここの四天王はちょっと違います。

それぞれのお顔をよく眺めてみて下さい。おひげを生やした、なかなかダンディな顔つきですよ。

金堂

(講堂)

講堂は、一般に法会などを行うための大きなお堂で、當麻寺の講堂も金堂よりも横に長い造りとなっています。

鎌倉時代の再建で、国の重要文化財指定。

講堂にはさまざまな仏像が安置されていますが、まず目を引くのは、中央の講堂本尊、阿弥陀如来像。

一般に「丈六」と呼ばれる大きな坐像(像高約2.4m)です。


もう1つ、堂内で目立つ仏像があります。それは地蔵菩薩立像、「お地蔵さま」です。

ご本尊の阿弥陀さまと同じくらいの背丈、お地蔵さまには珍しい、かなり大きな像です。

講堂

<中之坊>

東塔のそばにある中之坊は、當麻寺の子院の1つで、高野山真言宗に属する寺院。

この中之坊は中将姫とのゆかりが特に深いお寺です。

中之坊には、中将姫の守り本尊で「導き観音」とも呼ばれる、十一面観音像が残ります。

良縁、子授け、安産などの祈願でも知られ、特に女性の方に人気のスポットです。

中之坊

書院の周囲に広がる庭園「香藕園」も見どころの1つ。

當麻寺東塔を借景とする美しい日本庭園で、国の名勝にも指定されています。

また、書院では、庭園を眺めながらお抹茶をいただくこともできます(拝観料とは別料金)。

中之坊庭園「香藕園」

<奥院>

奥院も當麻寺の子院の1つですが、こちらは浄土宗に属するお寺。

奥院には、本堂(曼荼羅堂)に安置されているものとはまた別の、當麻曼荼羅の写本が残されています。


1つは、本堂にある綴織當麻曼陀羅

国宝の根本曼荼羅と同じ手法で作られたもので、毎年11月に限り一般に公開されます。


もう1つは、奥院の宝物館にある江戸時代の転写本(延宝本)。

こちらは宝物館で常時公開されています。

奥院

また、奥院の境内奥には、「浄土庭園」という名の庭園があります。

二上山を背景に、阿弥陀如来像を中心に池や草木が配された、自然感あふれる庭園です。

奥院の浄土庭園

當麻の牡丹(ボタン)

「當麻の里」とも呼ばれる當麻寺の周辺一帯は、特に牡丹(ボタン)で知られる地。

當麻寺では、上でご紹介した中之坊と奥院の庭園が牡丹の名所。

また、當麻寺の近くの石光寺のボタン園も有名です。

石光寺と牡丹

當麻の里を散策するなら、牡丹が咲き誇り、新緑も美しい、春~初夏が一番。

一方で、二上山が紅葉で色づき、山麓にはのどかな里の風景が広がる秋も、おすすめです。

スポンサードリンク

スポット情報

<當麻寺>

住所 奈良県葛城市當麻1263
最寄り駅 近鉄南大阪線当麻寺駅から徒歩15分
拝観時間 午前9時~午後5時
拝観料 (伽藍三堂)大人500円 小学生250円
(中之坊)大人500円 小学生250円
(奥院)大人500円 小学生250円
ホームページ 當麻寺ホームページ
當麻寺奥院ホームページ


<石光寺>

住所 奈良県葛城市染野387
最寄り駅 近鉄南大阪線二上神社口駅から徒歩15分
拝観時間 午前8時半~午後5時
午前9時~午後4時半(11月~3月)
拝観料 (ボタン園開園時期)大人400円 小学生200円
ホームページ 石光寺ホームページ

関連地図

スポンサードリンク

  • 新規会員登録
  • 散策コース紹介
  • つれづれ関西街歩き
  • お役立ち情報