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畝傍山と橿原神宮 大和三山の「最高峰」は、伝説の初代天皇、神武天皇の伝承が残る地

散策コース:橿原)

奈良盆地の南部に、小高い丘のような山が3つ隆起しています。

三角形を描くように配置されたこれら3つの山は、畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま)、天香具山(あまのかぐやま)。

3つ合わせて「大和三山」と総称されます。


大和三山は、古の飛鳥の時代より数多くの和歌に詠まれるなど、多くの人々に親しまれてきた山々。

また、持統天皇の時代には三山が作る「三角形」の中央に藤原京が置かれ、奈良の平城京に遷都するまで、この地は日本の中心でありました。


今回は、大和三山の中でも、特に、畝傍山とその周辺についてご紹介していきたいと思います。


畝傍山と神武天皇

橿原神宮

畝傍山登山と周辺散策






藤原宮跡から眺める畝傍山

畝傍山は、大和三山の中で最も西に位置する山です。

火がうねっているような尾根の形状から、「畝火(うねび)」と呼ばれるようになったとも言われています。

標高は199m。山といってもかなり低い部類に入りますが、それでも、他の二山(耳成山、天香具山)をしのぎ、大和三山の「最高峰」の地位にあります。

飛鳥甘樫丘から見た畝傍山

畝傍山と神武天皇

さて、この畝傍山には、初代天皇とされる神武天皇に関する、さまざまな伝承が残ります。


神武天皇は、古事記や日本書紀に登場する伝説の人物です。

日向国(現在の宮崎県)高千穂から東征を開始し、苦難の末、この地を制圧。

その後、畝傍山の麓に橿原宮(かしはらのみや)を造営し、初代天皇に即位したという話が残ります。

ただし、神武天皇の逸話には神話的な内容が多く、神武天皇が実在したかも未だ定かではありません。


また、古事記や日本書紀には、橿原宮で崩御した神武天皇は畝傍山の北あるいは東北に葬られたという記述があります。

このような記述に基づき、現在、畝傍山の東北の山麓にある畝傍山東北陵が、神武天皇陵に治定されています。


他の天皇陵と同じく、神武天皇陵も中に立ち入ることはできませんが、陵の前に拝所が設けられています。

一般的な天皇陵にももちろん拝所はありますが、さすがに初代天皇の陵への力の入れ方は他とは違いますね。

普通の天皇陵の数倍もの広さの大きな拝所。手を清めるための手水までついています。

神武天皇陵

また、畝傍山の周辺には、この神武天皇陵の他に、2代目以降の天皇の陵もあります。

畝傍山北東、神武天皇の北には、第2代綏靖(すいぜい)天皇の陵。

また、畝傍山の南西には、第3代安寧(あんねい)天皇と第4代懿徳(いとく)天皇の陵があります。

綏靖天皇陵

橿原神宮

畝傍山の南東には、神武天皇とその皇后を祭神として祀る橿原神宮が鎮座しています。

橿原神宮は、明治時代に創建された比較的新しい神社で、神武天皇の橿原宮跡(あくまでも推定地)に建てられています。


なお、余談ですが、一般に、「神宮」を称する神社では、昔の天皇や天皇の祖先神を祀っています。

明治以降に創建された神社に多く、橿原神宮の他に、明治天皇を祀る東京の明治神宮や、桓武天皇を祀る京都の平安神宮などがあります。

橿原神宮

さて、橿原神宮の正面、広い表参道から一の鳥居、二の鳥居をくぐると、その先の右手に八脚門の南神門が見えてきます。

その手前の手水舎で身を清めてから南神門を通り抜けると、その先には、白い砂利が一面に敷き詰められた広々とした空間。

ここには、畝傍山を背にして、外拝殿、内拝殿、弊殿、本殿などの社殿が並びます。

橿原神宮の社殿と畝傍山

入母屋造りの外拝殿は、どっしりと重量感のある建物。

外拝殿向かって右手には、毎年恒例、その年の干支を描いた巨大絵馬が掲げられています。

橿原神宮外拝殿

外拝殿の奥には内拝殿

普段の参拝では外拝殿の奥へ入ることができませんが、お正月の初詣の時期には内拝殿前で参拝ができます。


内拝殿の奥には、屋根の上の千木(ちぎ)が特徴的な弊殿が見え、さらにその奥には本殿があります。

本殿は弊殿に隠れて見えにくいのですが、橿原神宮の創建時に当時の京都御所から移築された建物です。国の重要文化財の指定を受けています。

外拝殿から眺める内拝殿

畝傍山登山と周辺散策

畝傍山とその周辺の散策についても少しお話しておきたいと思います。


この地を訪れたのなら、せっかくですから、大和三山の一、畝傍山に登ってみてはいかがでしょう。

畝傍山は、大和三山の中で一番高いといっても標高200mもない山で、また、その傾斜はなだらか。

登山といっても身構えるほどのものではありません。ハイキング感覚で登ることができますよ。


畝傍山の山麓には山頂への登山口がいくつかありますが、一番メジャーなのが、畝傍山の東側の麓、橿原神宮の北参道途中にある登山口です。

このルートは、急坂や長く連続する階段はほとんどなく、なだらかな坂道が続きます。

個人差はありますが、ゆっくり登っても山頂までおおよそ30分程度。

山登りに不慣れな方やお子さん連れのご家族におすすめのルートです。

畝傍山登山口

畝傍山の山頂には特に施設はなく、戦前に山頂から山麓に移転した畝火山口神社の社殿跡が残るのみです。

ただ、標高が低いながらも山頂からの眺めはなかなかのもの。

東を眺めれば、大和三山の他の二山、耳成山と天香具山が見えます。

まるで、「奈良盆地」という大きな池の中にポツンと浮かぶ島のよう。

また、西方には、大阪府と奈良県を隔てる金剛山地の山々を望むことができます。


なお、下りは登りと同じルートを使ってもよいのですが、畝傍山西側の畝火山口神社へ向かうルートで下るのもよいでしょう。

特に、畝傍山南西にある安寧天皇陵・懿徳天皇陵を訪れるなら、このルートでの下山が便利です。

畝傍山山頂から眺める耳成山

山麓の橿原神宮の境内には水鳥が泳ぐ大きな池があり、また、神宮の周囲には森林公園が整備されています。

そのため、この畝傍山周辺は普段から散歩やジョギングを楽しむ方も多く、市民の憩いの場として親しまれています。


神武天皇の伝承が今も残る畝傍山周辺。

伝説の天皇とのゆかりの深い名所旧跡を探訪しつつ、自然あふれる中、清らかな空気を感じながらの散策が楽しめます。

橿原神宮の深田池




スポット情報

<畝傍山>

住所 奈良県橿原市畝傍町
最寄り駅 (近鉄)畝傍御陵前駅・橿原神宮西口駅から徒歩10分、橿原神宮前駅から徒歩17分
備考 入山自由
主な登山口は東西2つ(東:橿原神宮北参道、西:畝火山口神社近く)


<神武天皇陵>

住所 奈良県橿原市大久保町71-1
最寄り駅 (近鉄)畝傍御陵前駅から徒歩9分、橿原神宮前駅から徒歩20分
(JR)畝傍駅から徒歩17分
備考 陵内への立ち入りは不可、見学は陵前の拝所まで


<橿原神宮>

住所 奈良県橿原市久米町934
最寄り駅 (近鉄)橿原神宮前駅から徒歩5分、橿原神宮西口駅から徒歩11分
開門時間 日の出から日没まで(季節によって開門時間は異なる)
境内自由
ホームページ 橿原神宮

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